ストーカーという単語が目新しかった時代には、見知らぬ誰かが自分の住まい付近をうろつくといった、不審者につきまとわれるという被害が目立っていました。このようなストーキング行為は、加害者が被害者との人間関係が殆ど無いまま、一方的に思いを募らせているというのが特徴です。だからこそ不気味でもあるのですが、その分執着も弱く、警察による禁止令だけでも解決する場合もあります。
しかし最近新聞紙上でも大きな問題となっているのは、過去に付き合っていたり一緒に生活していたことのある相手が、その関係が壊れて以降ストーカー化してしまうというケースです。この場合、加害者は被害者との生活や思い出を共有しているということもあって、執着も強く解決は困難になることも多いのです。
このようなストーカー犯の心理の底には、非常に強い支配欲や執着心があると言われています。相手を自分の持ちものであるかのように捉えており、自分の意思に反した行動をとると、瞬時に大きな怒りが湧いてきて自分でもコントロールが効かなくなってしまうのです。またその際の相手に対する憎しみや怒りの感情を、自分で正当化してしまうという特徴もあります。自分が怒るのは当然だ、相手が罰せられるのは当たり前だという考え方をするために、ストーキング行為は加速こそすれ、歯止めはかからないという結果になってしまうのです。
しかしこのような人が、仕事など他の場面でもそのような性格だという訳ではありません。それでは社会生活は全く不可能ですよね。ストーキングをする人は、他の場面では感情を抑えることができるのですが、こと恋愛関係においてのみ、このように強烈な自我が出てくるのだと考えられます。通常ならば「どうしてそこまで?」と思うような行動に彼らが突き進んでしまうのも、このようなストーカー独特の心理があるからなのですね。
しかしこのような心理状態に陥っている人に対して、禁止や処罰といった対処をしても、果たして十分に効果があるのかどうかは疑問です。逆にどうして自分だけが罰せられるかが納得できず、なおさら怒りを募らせる結果になってしまうことも考えられますよね。最近はこのような加害者の独特な心理を治療しない限り解決は不可能だという考え方も出てきており、警察などとも連携して加害者の治療やカウンセリングを進める動きも起こっています。
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